遠心分離機の使い方についてわかりやすく解説|注意点についても
バスケット型遠心分離機は固体と液体を分離するのに欠かせない機械です。しかし、その使い方を誤ると思わぬトラブルを引き起こす可能性も。本記事では上部排出型(手動式)と底部排出型(自動式)の遠心分離機の正しい使い方と、運転時の注意点についてわかりやすく解説します。
遠心分離機の導入をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
遠心分離機とは
遠心分離機は高速回転により発生する遠心力を利用して、固体と液体、または液体(重液)と液体(軽液)を分離する装置です。主にスラリ(固体粒子が液体に懸濁した状態)から固体粒子を分離したり、異なる比重の液体を分離したりする目的で使用されます。 遠心分離機は、以下のような産業分野で幅広く活用されています。
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化学工業:結晶(無機・有機共有価物)の分離など
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食品工業:果汁の清澄化、酵母の分離、食品添加物の分離など
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医薬品工業:抗生物質の精製、血液製剤の分離など
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環境分野:排水処理、汚泥の脱水など
関連記事:遠心分離機(遠心機)とは?仕組みや構造、おすすめの機種について解説
上部排出型(手動式)遠心分離機の使い方
遠心分離機には大きく分けて、上部排出型と底部排出型の2種類があります。上部排出型は分離された固形物を上部から排出する構造で、シンプルな構造が特徴です。一方、底部排出型は分離された固形物を掻取装置で底部から排出する構造で、各工程を自動化することが可能な点が特徴です
処理する原料の種類や要求される分離性能、自動化のニーズなどに応じて、適切な型式を選択することが重要です。
ここでは上部排出型の使い方について解説します。
下記の動画と併せてご覧ください。
スラリ供給
上部排出型遠心分離機でスラリを処理する際、まずスラリをバスケットに供給します。このとき、バスケットの有効容量を目安にスラリを投入してください。スラリ供給後は、蓋を閉めて運転を開始します。
(次工程の起動後に本工程を行なう方法も選択可能です。)
起動
蓋を閉めた後、遠心分離機を起動します。起動後、脱液回転速度まで回転数を上げていきます。回転数はろ過分離の場合は300~1000G、沈降分離の場合は800~1500Gに相当する速度に設定することが一般的です。
脱液
起動後、遠心力によりろ過分離が行われます。あらかじめセットした脱水袋を用い、遠心力でスラリ中の固形物を分離します。ろ過された液体は排液口より排出されます。一般的に、固形物の粒子径が大きいほどろ過速度は早く、小さいほど遅くなります。ろ液が出なくなったタイミングで脱液工程は完了です。
制動
脱液完了後、バスケットを停止させます。付着ケーキ量が不十分な場合は再給液を行い、十分なケーキを付着させてください。ケーキ回収
バスケットが完全に停止したら、脱水袋内部に捕集されたウェットケーキを回収します。ケーキが硬い場合は、ヘラなどでほぐしてから回収します。(脱水袋ごと一旦取り出す方法もあります。)
底部排出型(自動式)遠心分離器の使い方
ここからは底部排出型遠心分離機の使い方について解説します。
次の動画と併せてご覧ください。
起動
自動式底部排出型遠心分離機の運転は、あらかじめ設定されたタイムチャートに沿って自動で進行します。まず起動工程では、設定された給液回転速度まで回転数を上げていきます。
給液
起動後、給液工程に入ります。スラリは給液パイプを通じてバスケットへ供給され、ろ過されるとともにウェットケーキが徐々に付着していきます。
満杯検出装置によりバスケット内部の満液が検出されると、給液を一時停止します。一時停止中に十分ろ過を行い液面を下げた後、再度給液を行います。この工程を繰り返すことで、適正なケーキの厚みを確保します。
脱液
給液工程終了後、脱液を行いスラリから固体と液体に分離させます。
洗浄
脱液工程終了後、必要に応じてケーキ洗浄を行います。ケーキ洗浄工程では、洗浄パイプより洗浄液を供給します。給液工程と同様に、満杯検出装置でオーバーフローを抑制しながら供給し洗浄を行います。
脱水
洗浄工程終了後、脱水を行い追加で供給したケーキ洗浄液を分離します。
制動
十分な脱水を行なった後制動を行い、回転数を徐々に下げていきます。
掻取
制動後、掻取工程を行います。まず、掻取装置のスクレーパを旋回させることでバスケット上部のケーキを掻き取ります。次に、スクレーパを下降させることで、バスケット底部まで付着したケーキを掻き落とします。掻き取られたケーキは自動で機外へ排出されます。
遠心分離機を使う際の注意点
遠心分離機を安全に使用するためには、以下の点に注意が必要です。
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運転中は回転部に絶対に触れないでください。カバーや蓋を外した状態での運転は厳禁です
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保守・点検時は必ず電源を遮断し、誤って起動しないよう安全措置を講じてください
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点検や調整は、回転体が完全に停止したことを確認してから行ってください
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関係者以外が遠心分離機や制御盤に近づかないよう、立入禁止区域を設けてください
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運転中は安全カバーを外さないでください
これらの注意点を守ることで、事故やけがのリスクを大幅に減らすことができます。
また遠心分離機を安全かつ効率的に長期間使用するためには、適切な保守点検が不可欠です。日常点検では運転前に異常な振動や異音、発熱がないかチェックします。定期点検として労働安全規則に定められた1年に1度の点検を推奨しております。
また定期的な分解検査では、ベアリングやパッキン類の交換や潤滑油の入替え、状況に応じその他部品の交換などを行ないます。これらの保守点検を怠ると、性能の低下や予期せぬ故障の原因となります。
関連記事:遠心分離機(遠心機)での事故事例3選|原因と対策についても
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この記事ではバスケット型遠心分離機の使い方について解説しました。
遠心分離機は様々な業種で利用される便利なものです。しかし遠心分離機は高速回転する機械であるが故に、長期間にわたり安全に使用を続けるには自主検査が必要不可欠です。
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