クロスコンタミネーションとは?原因や防止のための方法を解説
クロスコンタミネーションは、汚染された物質や微生物などの異物が他の物質や場所に移ることで起こる汚染のことを指します。
また、異物が特定の場所や物質に入り込むことをコンタミネーションと呼びます。
医療、食品、化学、バイオテクノロジーなど、様々な分野で問題となるクロスコンタミネーションやコンタミネーション。その原因は作業者、原材料、機器、環境など多岐にわたります。
本記事ではそれらの事象をコンタミと総称し、コンタミの原因と、それを防ぐための対策方法について詳しく解説します。
またコンタミ対策に対応した遠心分離機・ろ過乾燥機を提供するタナベウィルテックの製品ラインナップもご紹介しますので、コンタミ対策にお悩みの方は、ぜひ参考にしましょう。
コンタミが起こる原因
製造現場におけるコンタミの原因には、次の4つが挙げられます。
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作業者からの混入
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原材料からの混入
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機械や器具からの混入
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環境による混入
作業者からの混入
作業者からの混入は、装置の操作や保守を行う際に発生する可能性があります。
具体的にはまず、装置の取り扱い時に、作業者の手袋や作業着から微粒子やアレルゲンが混入する可能性があります。
例えば前の作業で扱った材料の残留物が作業着に付着していた場合、それが次の製品に混入してしまうことがあるのです。
また装置の開放時などに、作業者の髪の毛や皮膚片が機器内に落下し、後の製造工程で製品に混入するリスクもあります。
他の原材料からの混入
同じ機材で複数の製品を製造する場合、異なる原材料間のコンタミが発生する可能性があります。
例えば、食品製造において、アレルゲンを含む原材料(例:乳製品)を遠心分離した後、アレルゲンを含まない製品を同じ機器で処理すると、微量のアレルゲンが次の製品に混入する可能性があります。
医薬品製造においても、異なる有効成分を含む原料を同じ装置で処理すると、成分間の混合が起こる可能性があります。
機械や器具からの混入
機器自体やその付属品からのコンタミは、特に注意が必要です。装置に前回の製造時に使用した残留物が付着していると、次の製品に混入する可能性があります。
微小な粒子が飛散し、機器内部の隅々に付着することがあります。
また内部の部品(Oリングやガスケットなど)の劣化により、微小な破片が製品に混入するリスクも。さらに機内の潤滑油などが漏れ出し、製品を汚染する可能性もあるのです。
環境による混入
作業環境からのコンタミも無視できません。
まず空気中の微粒子や細菌が、装置の運転中に製品に混入する可能性があります。また空調設備からの埃や結露水が、内部や製品に落下するリスクもあります。さらに作業場所の湿度管理が不適切な場合、カビの発生や静電気の蓄積によるコンタミのリスクが高まってしまいます。
コンタミへの対策方法
製造現場において、コンタミの防止は非常に重要です。コンタミを効果的に防ぐための対策には、次の5つのポイントが挙げられます。
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規格に則ること
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適切な機器を選定する
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機器を専用とする
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適切な洗浄を行う
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従業員教育を行いルールを順守する仕組みを作る
それぞれについて、以下に解説します。
規格に則ること
規格に則ることは、コンタミ対策の基本となります。
具体的には、ISO22000やHACCP(ハサップ)などの食品安全マネジメントシステムの規格、あるいはGMP(医薬品等製造管理及び品質管理規則)などの業界標準に準拠することが重要です。
適切な機器を選定する
適切な機材の選定は、コンタミ防止において非常に重要な役割を果たします。
選定の際にはまず、使用目的に適した設計であることが重要です。例えば装置を選ぶ際は食品や医薬品の製造に使用する場合、洗浄が容易な構造や、密閉性の高いシールシステムを備えたものを選ぶべきでしょう。
また材質にも注意が必要です。ステンレス鋼などの耐腐食性に優れた材質を使用し、製品との反応や劣化によるコンタミのリスクを低減することが大切です。
さらにCIP(Clean In Place)システムやSIP(Sterilization In Place)システムに対応した機器を選ぶことで、効率的かつ確実な洗浄・滅菌が可能になります。
機器を専用とする
機器の専用化は、コンタミ防止の有効な手段の一つです。特に、アレルゲンを含む製品や、高活性の医薬品成分を扱う場合には、機器の専用化が強く推奨されます。
例えば、乳製品を扱う遠心分離機と、小麦製品を扱う遠心分離機を分けることで、アレルゲン間のコンタミのリスクを大幅に低減できます。同様に、異なる有効成分を含む医薬品の製造ラインでも、装置を専用化することで、成分間の混入を防ぐことができます。
適切な洗浄を行う
装置の適切な洗浄は、コンタミ防止の要となります。
洗浄の際は、CIPの活用が効果的です。CIPでは、各種洗浄ノズルを用いる方法や洗浄溶液を浸漬させる方法などを用いて、機器内部の隅々まで洗浄することができます。
従業員教育を行いルールを順守する仕組みを作る
どれだけ優れた機器や手順を導入しても、それらを適切に運用する人材がいなければ意味がありません。従業員教育とルール順守の仕組み作りは、コンタミ防止策の基盤となります。
まず全従業員に対して、コンタミの危険性とその防止の重要性について基本的な教育を行います。その上で装置の操作者には、適切な使用方法、洗浄・消毒・滅菌の手順、コンタミのリスクが高い操作などについて、詳細な訓練を提供します。
教育は一度きりではなく、定期的に実施することが重要です。また、新しい装置の導入や手順の変更があった場合には、その都度再教育を行いましょう。
タナベウィルテックのコンタミ防止対策機
コンタミは、製品の品質低下や安全性の問題を引き起こすだけでなく、アレルギー反応の原因となったり、医薬品の効果に影響を与えたりする可能性があります。そのため、製造プロセス全体を通じて、コンタミの防止は極めて重要な課題となっています。
ここからは、弊社タナベウィルテック株式会社が取り扱っているコンタミ対策機について紹介します。
関連記事:遠心分離機(遠心機)とは?仕組みや構造、おすすめの機種について解説
CO-Z型:手動式バスケット型遠心分離機 ケーシング開閉型
CO-Z型遠心分離機は、コンタミ対策を重視した設計で、医薬中間体、ポリマー、抗生物質、食品添加物、香料など幅広い産業で使用できる高性能な装置です。
DEVO型・RISE型:自動式バスケット型遠心分離機 ケーシング開閉型
自動式バスケット型遠心分離機DEVO型・RISE型は、コンタミ防止に特化した機種です。
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洗浄バリデーション対応
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ケーシング開閉により機内洗浄効果の確認が容易
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バスケットの取付位置を上にすることによりバスケット~フレーム間の広い空間ができ、洗浄後の確認も容易
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バスケット底裏面がフラット形状なため全ての接液・接粉部のスワブ及び目視確認が可能
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ケーシング内でのバスケット浸漬洗浄可能
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サニタリ仕様も可能
上記の特徴からこの機種は、特にGMP(Good Manufacturing Practice)基準が厳しい製薬業界や、高い品質管理が要求される食品産業、化学産業の企業におすすめと言えます。
TR-F型:ろ過乾燥機
ろ過乾燥機(TR-F型)は、スイスのローゼンムンド社との技術提携により開発された高性能な装置です。この機器は、医薬中間体・原薬、農薬、抗生物質、ワクチン、ニッケル、リチウム、コバルト、レジスト、樹脂・ポリマーなど、幅広い産業分野で使用できる多機能な設備です。
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GMP・CIP・SIP対応
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加圧ろ過、ケーキ洗浄、真空乾燥の全工程を一つの缶体内で汚染なく処理可能
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外部からの混入を防ぐ密閉構造
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ケーキ排出口のOリングを使用しない特殊シールシステム
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製品に応じて自由に設定可能な処理工程
TR-F型ろ過乾燥機はコンタミのリスクを最小限に抑えつつ、効率的で信頼性の高い処理を実現します。
BS型:超高速型遠心分離機 沈降分離型
BS型超高速型遠心分離機(バイオセトラ・BS型)は、バイオプロセスや精密化学プロセスにおける高度な分離要求に応える先進的な装置です。
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GMP・CIP・SIP対応
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自動排出が可能
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真空下での運転が可能
この機種は特にGMP基準が適用されるバイオ医薬品製造や、高純度が要求される食品・電子材料産業での利用がおすすめです。
コンタミ防止対策機ならタナベウィルテックにご相談ください
この記事ではコンタミの概要やその原因と対策について解説しました。この記事を参考に、コンタミの対策を進めていきましょう。
コンタミ対策がなされた遠心分離機・ろ過乾燥機を選ぶには、規格対応の機器を選ぶことが重要です。コンタミ対策を検討している場合はぜひタナベウィルテックまでお問い合わせください。
タナベウィルテックでは遠心分離機やろ過乾燥機の導入を検討している企業や研究機関の皆様へ、多岐にわたる産業での実績をもとに、最適な機種選定や導入のサポートを行っています。
お客様の製造プロセスに応じた適切な使用方法や、効果的な洗浄手順などのアドバイスも可能です。
遠心分離機・ろ過乾燥機のご相談はぜひタナベウィルテックまでお気軽にお問い合わせください。
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