遠心分離機の排水処理における有用性とは?おすすめの遠心機を紹介
遠心分離機は、排水処理技術の中でも特に効率的かつ環境に優しい方法の一つとして注目されています。
この記事では排水処理の必要性や具体的な方法について紹介します。遠心分離機の排水処理での有用性や遠心分離機の選び方についても紹介するので、ぜひ参考にしましょう。
遠心分離機とは
遠心分離機とは回転するバスケットの中に排水を送り込み、遠心力によって固液分離を行う機械です。バスケットの高速回転によって固体はドラムの内壁に押し付けられ、液体はドラムの中心に集まり(もしくはろ材と呼ばれるフィルターを通して)排出されます。
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遠心分離機は、様々な産業分野で広く利用されています。例えば食品や化学、製薬などの分野では、原料や製品の精製や濃縮に用いられます。また環境分野では、排水処理や廃棄物処理、リサイクルに用いられます。特に排水処理においては、遠心分離機は高い処理能力とコストパフォーマンスを発揮します。
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排水処理の必要性
工場の排水処理について、健康や生活環境を守るために、いくつかの法律が定められています。
水質汚濁防止法では、工場や事業所から公共用水域に排出される水の排出基準が定められています。有害物質や汚濁物質を含む排水が規制値を超えて排出されると、河川や海などの水質悪化を引き起こし、水道水源の汚染や魚介類などへの悪影響が懸念されるためです。
また下水道法では下水道の整備が進んでいない地域、もしくは下水道への排水によって下水道施設の機能が低下する可能性がある場合、工場に排水基準を満たすことを求めています。工場は排水処理施設を設けて、汚濁物質を除去または無害化した上で排水する必要があります。
参考ページ:下水道へ排水を放流する場合の基準(大阪市HP)
排水処理の方法
排水は汚水の性状や要求される処理水質に応じて「分離」と「分解」が行われます。
分離と分解はそれぞれ単独で行われることもあれば、組み合わせて設計・運用されることもあります。具体的な方法としては大きく次の4つが挙げられます。
物理的処理
化学的処理
生物学的処理
高度処理
物理的処理
物理的処理は、主に排水中の固形物を物理的に分離・除去する方法です。
代表的な手法として「沈殿」と「ろ過」が挙げられます。
沈殿は排水を静置することで重力により固形物を沈降させ、上澄み液と分離します。
ろ過は砂やろ布などの「ろ材(フィルタ)」を用いて、排水中の固形物を捕捉・除去します。
物理的処理を行うために使われる手段として代表的な装置としては、沈殿槽や遠心分離機です。これらの方法により、排水中の懸濁物質や浮遊物質を効果的に除去できます。
化学的処理
化学的処理では排水に薬品を添加することで、有害物質を分離または分解します。
例えば排水に凝集剤を加えることで、微細な粒子を大きな塊に集めて沈殿させる方法です。これにより排水中の懸濁物質や重金属などを効率的に分離し除去できます。
また酸性またはアルカリ性の排水に対しては、pHを調整するための薬品を添加し、化学反応を利用して有害物質を無害化または分解します。
化学的処理は、物理的処理だけでは除去が難しい溶解性の汚濁物質に対して有効です。
生物学的処理
生物学的処理は、排水中の有機物を微生物の働きで分解する方法です。
代表的な手法として、活性汚泥法が挙げられます。活性汚泥法では、排水を曝気槽に導入し、好気性微生物を含んだ汚泥と混合します。微生物が有機物を分解し、二酸化炭素と水に変換します。その後、沈殿槽で処理水と汚泥を分離し、処理水を放流します。
一部の汚泥は曝気槽に戻され、微生物を維持します。生物学的処理は、有機物を含んだ排水の浄化に非常に効果的です。
高度処理
高度処理は、より高度な分離や分解の技術を用いて排水中の微小な汚染物質や難分解性物質を除去する方法です。膜処理技術は逆浸透膜(RO)やナノフィルターなどの精密ろ過膜を使用して、イオンレベルの物質や低分子量の有機物を排水から分離・除去します。
オゾン処理は強力な酸化力を持つオゾンを用いて、排水中の有機物を酸化分解する方法です。色や臭いの除去、微生物の殺菌にも有効です。高度処理は、厳しい排水基準を満たすために必要な場合に活用されます。
遠心分離の排水処理での有用性
遠心分離機は排水を分解する処理において、非常に有用な装置です。その利点として、次の3つのポイントが挙げられます。
高い処理能力
設置サイズがコンパクト
フィルタなどの消耗品が無い(沈降分離)
それぞれについて、以下に解説します。
高い処理能力
遠心分離機は、高速回転により強力な遠心力を生み出すことができるため、排水中の固形物を効率的に分離・除去できます。
沈殿槽による重力沈降よりも最大で何千倍も速いスピードで分離が可能であり、大量の排水を短時間で処理することができます。また遠心分離機は機種によっては連続運転が可能なので、大規模な工場などで発生する大量の排水処理に適しています。
設置サイズがコンパクト
遠心分離機は、同等の処理能力を持つ他の装置と比較して、コンパクトな設置面積で済むという利点があります。遠心分離機が高速回転による強力な遠心力を利用して固液分離を行うため、重力沈降などの方法よりも装置のサイズを小さくできるからです。
コンパクトな設置サイズは、スペースが限られている工場にとって大きなメリットとなります。
フィルタなどの消耗品が無い
遠心分離機(沈降分離)は遠心力を利用して固液分離を行うため、ろ過装置のようなフィルタなどの消耗品を必要としません。
フィルタや逆浸透膜などの消耗品は定期的な交換が必要で、ランニングコストの増加につながります。また交換作業のために装置を停止する必要があり、処理効率の低下を招きます。
遠心分離機は消耗品が無いことで、ランニングコストの削減と安定した連続運転が可能になります。
環境分野・排水用途でのおすすめ遠心分離機:横型連続式遠心分離機
環境分野や排水処理用途で使用される遠心分離機の中でも、特におすすめなのが横型連続式遠心分離機(デカンタ型遠心分離機)です。
横型連続式遠心分離機は、粒子径が小さくて沈降速度が遅い物質にも適しています。スクリュによる、ケーキの自動的な排出が可能です。
また横型連続遠心分離機は油を含んだ三層の分離も可能で、油水混合物などの処理に適しています。
関連記事:油・水・スラッジ3成分の分離装置とは?仕組みや特徴、おすすめの機種について紹介
このように横型連続式遠心分離機は排水処理に適した設計がなされており、優れた処理性能と使いやすさを兼ね備えています。
遠心分離機ならタナベウィルテックへ
この記事では排水処理分野での遠心分離機の活用方法とおすすめの遠心分離機について紹介しました。用途や利用頻度によって必要な遠心分離機が異なるので、遠心分離機の選び方についてお悩みであれば、タナベウィルテック株式会社までお気軽にお問い合わせください。
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