遠心分離機の食品分野への実際の用途|おすすめ遠心機を紹介
食品製造の現場において、遠心分離機は欠かせない機器の一つです。遠心分離機はろ過による固体と液体の分離や、比重差を利用して固体と液体、液体と液体を分離させられるため、食品製造のさまざまな工程で活用されています。
本記事では遠心分離の基礎知識から、食品分野における用途や遠心分離機の選び方について解説します。
遠心分離機とは
遠心分離機は物質の密度差を利用して混合物を分離させる機械です。遠心力を用いて、より重い成分を外側に、軽い成分を内側に移動させることで分離を行います。
分離が必要な際、手作業やその他の方法に比べて遠心分離機は迅速かつ効率的に分離を行うことができます。
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遠心分離機の食品分野への実際の用途2選
遠心分離機は食品産業において、「原料の精製」と「製品の製造」の両方で広範囲にわたって利用されています。以下に、それぞれの用途について説明します。
原料の精製
遠心分離機は原料の中から、不純物や異物を取り除き精製する際に使用されます。
例えば塩や砂糖、アミノ酸などの脱水工程や、魚や鶏から抽出した油の精製・分離工程で遠心分離機が活用されています。
製品の製造
製品の製造過程でも遠心分離機は重要な役割を果たします。例えば食品添加物を製造する際、前段で反応させたスラリを遠心分離機にかけます。また、前段の反応で発生した非有価物(不純物)も遠心分離中に洗浄液を供給することで純度の高い製品が得られます。
食品分野での遠心分離機の選び方
食品分野での遠心分離機の選び方は分離したい物質の種類や性質、分離の目的や条件、費用などによって異なります。具体的には、以下の通りです。
【手動式バスケット型遠心分離機が向いている場合】
処理量が少なく、1日中運転する必要がない
初期コストやランニングコストを抑えたい
【自動式バスケット型遠心分離機が向いている場合】
処理量が比較的多く、連続的に運転したい
処理物の種類や粒度が一定
初期コストやランニングコストをかけても、作業効率を求める
【横型連続式遠心分離機が向いている場合】
処理量が多く、連続的に運転する必要がある
処理物の種類や粒度が一定
初期コストをかけても、作業効率を求める
【ろ過乾燥機が向いている場合】
1つの設備で、分離と乾燥を同時に行いたい場合
初期コストをかけても、クリーンな環境化での運転を求める
以下、それぞれの遠心分離機について詳細を解説します。
手動式バスケット型遠心分離機
バスケット型遠心分離機は回転するバスケット内にスラリを投入し、遠心力で固体と液体に分離する装置です。
バスケット型遠心分離機は操作が簡単でメンテナンスも容易です。タナベウィルテックでは、バスケット型遠心分離機の中でも800G前後の装置を取り扱っています。
バスケット型にはろ過分離を行う「有孔壁」タイプと沈降分離を行う「無孔壁」タイプがあります。
自動式バスケット型遠心分離機
自動式バスケット型遠心分離機は手動式バスケット型遠心分離機と同じ原理ですが、分離後に自動で固体を掻き落とす機能が付いているタイプです。
手動式と比較し構造が複雑になりますが作業効率は高くなります。
(3分26秒〜)
横型連続式遠心分離機
横型連続式遠心分離機は、横型の回転体)にスラリを連続的に給液し高速回転させながら、固体と液体を分離する遠心分離機です。
タナベウィルテックの横型連続式遠心分離機には「デカンタ型連続式遠心分離機」と「デ・コーン型連続式遠心分離機」があります。
デカンタ型連続式遠心分離機は、回転体(ボール)にスラリを連続的に供給し、遠心力で固体と液体に分離する装置です。デカンタ型連続式遠心分離機は、比較的粒子径が小さい処理物でも固液分離が可能です。またボール内に回転差を持つスクリューが備えられており、ケーキの連続的な排出が可能です。
タナベウィルテックでは、デカンタ型連続式遠心分離機の中でも二相分離型と三相分離型を取り扱っています。二相分離型は固体と液体を分離するもので、三相分離型は固体と液体(軽液・重液)の三種類に分離するものです。三相分離型は、油水混合物などの処理に適しています。
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またデ・コーン型遠心分離機は、ろ過式とデカンタ式遠心分離機の特長を組み合わせて良い部分を採用した機械で、高濃度の物質に対しても安定して運転可能です。ケーキ排出の際、独自の円錐ポールによりケーキの含水率低減を図ることが可能です。
ろ過乾燥機
ろ過乾燥機はスラリをろ過して固体を回収し、さらに減圧及び加熱して乾燥する装置です。
タナベウィルテックのTR-F型ろ過乾燥機はろ過(液体と固体を分ける)、洗浄(固体をきれいにする)、そして乾燥(付着水分を取り除く)という3つのプロセスを、一つの容器で行うことができます。またこの機械は密閉された状態で動作するため、作業環境を清潔に保つことができます。さらに固体を自動で排出する機能や、シリンダによるろ板の開閉機能を持たせることもでき、操作が簡単です。
サニタリ仕様も可能です。
遠心分離機ならタナベウィルテックへ
この記事では食品分野での遠心分離機の活用方法とおすすめの遠心分離機について紹介しました。用途や利用頻度によって必要な遠心分離機が異なるので、遠心分離機の選び方についてお悩みであれば、タナベウィルテック株式会社までお気軽にお問い合わせください。
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